棘間靱帯炎

サッカーとオタク。

ヨンソン監督で(俺が)学ぶEnglish Listening(A横浜FM戦)

いやー、ヨンソン監督いいですよね。いい……。

今シーズンのエスパルスのサッカーを見て、私はすっかりヨンソン信者になってしまいました。

ヨンソン監督の何がいいって、英語が聞き取りやすい。

リスニング力が皆無の俺でも8割聞き取れるくらい分かりやすい。

あと時々日本語が混じるのがかわいい。

英語の教材にしたいくらい。

します。

しました。

 

というわけで、自分のリスニング・トレーニングも兼ねてインタビューの書き起こしをしてみました。

英語得意諸氏、間違ってたら教えてください。勉強させてもらいます!

 

今回の教材は先日行われたアウェイ横浜FM戦の試合後インタビューです。

なぜこの試合を選んだかというと、

  1. この試合、内容的にはハラハラドキドキな展開だったのですが、ヨンソン監督は試合後のインタビュー(和訳)で「いい試合だった」と言っています。一方、公式HPの試合後コメントには「厳しい試合展開になった」と書かれており、どっちやねんという疑問がありました。
  2. 英語に日本語が混じるヨンソン節が炸裂しててかわいい。
  3. どうしても聞き取れなかった謎の単語があるので教えを請いたい。
  4. 直後に横浜FMのポステコグルー監督(ギリシャ生まれオーストラリア出身)のインタビューがあって、ヨンソン監督の英語の聞き取りやすさが際立つ。

という理由です。

 

DAZNだと2:12:45くらいからインタビューです。twitterやってる人は「"ヤンヨンソン"」で検索すればゴニョゴニョできると思います。8月29日の試合です。

twitterのリンク貼りたいけどさすがにね。他人の動画への勝手なリンクはやめとこうね。

インタビュー切り出して貼ってくれよなー。YouTubeJリーグ公式さん頼むよー。

 

では早速書き起こしをどうぞ。

()は私の推測で勝手に補足した単語、[]は監督は言ってるけど文意的にいらないだろう単語です。こっちも間違ってたら教えてください。

 

Q:試合終了後選手はもう座り込むほど本当に全力で戦ったこの勝利。今の気持ちいかがでしょうか?

ヨンソン監督:I think (they) are little bit tired [because…] physically もちろん. [but] We have so many even games we don’t get anything they're maybe getting little bit more tired. But luckily then small margins in this game today as well. So I'm happy and pleased with the 3 point.

    We could have scored more goals but [I’m also…] they could also have scored. So I'm pleased and happy with it.

訳:選手たちはもちろん肉体的に少し疲れていたと思います。内容は互角だったのに勝ち点を得られない試合がたくさん続いて、おそらく選手たちは余計に疲れを感じていたはずです。今日の試合も同じように僅かな差しかない試合展開でしたが、幸運にも(勝利することができました)。だからこの勝ち点3は嬉しいです。

 私たちはもっと点を取ることができたと思いますし、相手チームに点が入っていたかもしれなかった。なので勝てたことは嬉しいです。

 

Q:このあとアウェイがまた続きますけれども、この試合で得られた次に繋がるいいことっていうのはどんなところがあるでしょうか?

ヨンソン監督:Yes, the fact that is 3 point and well work from the boys. They have been working hard before we haven’t paid off. So I think that is important mentally. We trying to repair muscles as much as we can.

訳: 勝ち点3という事実と、選手たちがよくやってくれたこと(が得られたことですね)。選手たちは勝てない間もずっとハードワークしてくれていましたけどね。その中で勝てたということはメンタル的にとても大きなことだと思います。(次の試合に向けて)できるかぎり体の疲れを取ることに努めたいと思います。

 

Q:おめでとうございました。

ヨンソン監督:ありがとうございます。どうもー。

 

はい。こんな感じだと思います。

何度も言いますが、諸々間違ってたら教えてください。

 

というわけで、先述の1~4について改めて。

 

1.「いい試合」?「厳しい試合」?どっち?

私の聞き取りと和訳が間違っていなければ、ヨンソン監督は「自分たちがいい試合をした」とは言っていませんでした。ただし、「いい試合」というのが"even games"=「互角の試合展開で、両チームにとっていい試合」という意味でしたら「いい試合」という表現も合ってるかもしれません。

公式HPの「厳しい試合展開になった」という方が率直な感想かなと思います。

 

2. ヨンソン節かわいい。

ヨンソンさん、インタビューの最中にところどころ日本語混じるのがかわいいです。

最後の「どうもー」の言い方とか好き好き超好き。

あと、プレミアリーグの監督とかもよく言ってますが、選手たちのことを"boys"と表現するのも好きです。

 

3. 聞き取れなかった単語

で、どうしても聞き取れなかった単語は"luckily then small margins in this game"の赤字です。

何度聞いても「ラーギンス」にしか聞こえへん。この単語だけあえてゆっくり「ラーギンス」って言ってくれてるのに聞き取れへん。どないすんねん工藤。

知らない単語かなー、はたまたスウェーデン語かなーと思ってググりましたがヒットせず。心当たりがある方は教えてください。

 

ちなみに私は仮で"margins"としました。その理由は以下のとおりです。

  • 通訳の一色さんが「少しの差」と訳している。
  • 直後にヨンソン監督が親指と人差し指で「ちょっと」のジェスチャーをしている。
  • スウェーデン語を母語とする人は"gi"を「ギ」と発音する傾向があるらしい。

でも、スウェーデン語には"m"を省略する文化はないみたいですが……。方言かな?

っていうか仮にmarginsで合ってるとしたら、これを即座に「少しの差」って訳せた一色さんすごくね?と思います。さすがヨンソン監督が信頼している方だけあります。

 

あと、赤字のtheyも「エスパルスの選手たち」か「マリノスの選手たち」か迷いましたが、ここは文意的にマリノスの選手たちのことかなと思い、そのように訳しました。

 

4. We trust our BOSS.

直後のポステコグルー監督の英語めっちゃ速いやんけ……。

試合も10人になったのにめっちゃ崩してくるやんけ……。

ビビるわ。

 

はい、本記事のメインコンテンツは以上でございます。

英語得意諸氏、答え合わせよろしくお願いします。

 

ついでに

そういえば、ヨーロッパのクラブを率いていた監督って試合後インタビューで自分のチームの選手たちに自信をつけさせたり、次の対戦相手に弱みを見せないようにしたりするための言葉選びをする傾向にありますよね。試合後インタビュー自体も戦場というか。

うちの監督はかなり率直に話をするほうだとは思いますが、とはいえヨンソン監督の試合後インタビューを聞いていても「あ、これはうちの選手たちを励ますための言葉だな」とか「このへんあえて話題逸らしたな」とか感じることが多々あります。

そのへんの話術というか、レトリックも研究してみたいと思いますね(やるとは言っていない)。

おわり。

 

 

【サッカー】マイベストチームランキング(前編)

どうも私です。

時が経つのは早いもので、このブログを放置しているうちにエスパルスはJ1に昇格したのちに残留を果たし、FF15DQ11が発売し、平成が終わろうとし始めました。

今回は大変嬉しいことにむっとん様(@funyofunyo)よりリクエストをいただいたので、久々のサッカー記事を上げようと思います。

 

記事の内容は、ずばり「マイベストチームランキング」です。

とりあえず10個に絞ってランク付けしてみました。一気に全部書くのはしんどいので、前後編に分けてお送りしようと思います。

前口上が長くてもしょうがないので、早速ご紹介します。まずは第10位。

 

 

【10位】シャルケ04(2010-11)

(監督:フェリックス・マガトラルフ・ラングニック

 

10位は日本代表・内田篤人が移籍した初年度のシャルケ04

CLでは長友佑都属するインテルとベスト8で激突し、CL初の日本人対決を制してセミファイナルまで駒を進めました。ブンデスリーガでは14位と低迷しますが、リーグカップDFBポカールは優勝しています。

2004年くらい?にJsportsがプレミアの放映権を手放してブンデスに切り替えたあと、僕はよくシャルケの試合を観ていました。好きだったのはケビン・クラニーという豪快なストライカー。そのヒゲが「垂れた機械油みたい」と言わていれた可哀想な男です。

 

f:id:Seclair:20171218004358j:plain

垂れた機械油氏(ちなみに内田が移籍したオフにロシアへ移ったので共演はならず)

 

そのクラブに地元出身の内田が移籍するということで注目していたのですが……。

 

シャルケ04:2010年オフの移籍リスト]

f:id:Seclair:20171218005153j:plain

 

……ん?

 

f:id:Seclair:20171218005326j:plain

 

……んん!?

 

f:id:Seclair:20171218005425j:plain

 

んんんんんんんん!?!?

と……とんでもない大物が同時加入したぞ!?

 

というわけで、2010-11年はめっちゃ観てました。シャルケの試合。

この年のシャルケの魅力を一行で表すなら、

「GKノイアーからのボールをSB内田→WGファルファン→内田と繋ぎ、STラウールがフィニッシュするホットラインが見れる」

でしょうか(実際にそういうシーンがあったかどうかは覚えてませんが)。

「内田―ファルファン」のコンビはのちに『チョコレートライン』と呼ばれて現地の人々から愛されますが、その1年目を楽しく観させてもらっていました。

また、現在私がドイツ代表で一番好きな選手、ユリアン・ドラクスラーがこの年にシャルケのトップチームデビューを果たし、DFBポカール優勝の原動力になっています。

 

ちなみに長友インテルと打ち合ったCLベスト8の1st&2ndLegはもちろんですが、個人的に印象に残っているのは、

マンチェスター・ユナイテッドに0-4とボコボコにされたCLベスト4の2ndLeg終盤、ブチ切れた内田が右サイドから左サイドまで横断してプレスをかけに行ったシーン」

です。本当にありがとうございました。

 

【9位】レスター・シティFC(2015-16)

(監督:クラウディオ・ラニエリ

 

……このチームの説明いるか?

アクションサッカー好きとして外せない金字塔、15-16レスターです。

清水エスパルスから羽ばたいた岡崎慎司が新しいFWの形を示し、シャルケからやってきたクリスティアン・フクスが左SBに定着、チェルシーにゆかりのあるクラウディオ・ラニエリロベルト・フートがいたチームというのも感慨深いです。しかも、このシーズン絶不調だったチェルシーが最後の最後で優勝をアシストするというドラマつき。

 

……というと「お前、自分の好きなチームの選手がいるからやんけ」と言われてしまいそうなので、ちょっと戦術の話をします。

この年のレスターを見るまで、私は「トップリーグで4-4-2は通用しない」論者でした。

理由は単純、「中盤を3枚にするあらゆるフォーメーションに勝てないから」です。

 

4-4-2と「中盤3枚」が相対するとどういう守備になるかというと、

①FW1枚が相手の最終ラインにプレスに行き、もう1枚が落ちてくるボランチを見る。

(なお、ここでFW2枚が最終ラインにプレスに行くと即死です。相手の中盤3枚をこちらはボランチ2枚で見なければなりません。はい数的不利ー!)

②残った中盤2枚で相手の中盤2枚を見る。

状態になります。一見すると中盤は数的同数じゃんと思えますが、中盤で数的同数ってのはヤバいです。FWが落ちてきたりSBやWGが中に入ってきたりすると即数的不利です。また、1人かわされるとカバーに行ける選手がいません。それが分かっているのに性懲りもなく何度も同じ4-4-2で変則3-5-2の北海道コンサドーレ札幌に挑んで2年間を通じて全敗しているチームがあります。はい、清水エスパルスです。

 

それが、レスターの場合はなんとかなってしまったんです。

なぜかというと、

ジェイミー・ヴァーディと岡崎が相手の最終ラインにプレスに行き、ジェイミー・ヴァーディと岡崎が落ちてくるボランチを見る。

②残ったエンゴロ・カンテで相手の中盤2枚を見る。

③エンゴロ・カンテとダニー・ドリンクウォーターがカバー担当。

とかいう意味の分からない戦術を採用できたからです。

 

つまり、レスターの守備時のフォーメーションは、

FW:ヴァーディ、ヴァーディ、岡崎、岡崎

MF:オルブライトン、カンテ、カンテ、カンテ、ドリンクウォーター、マフレズ

DF:フクス、フート、モーガン、シンプソン

なので、「4-6-4」です。

なんでやねん。

 

【8位】日本女子代表なでしこジャパン(2011年)

(監督:佐々木則夫

 

……このチームの説明いるか?

ご存知のとおりW杯優勝したときのなでしこジャパンです。

「日本最高のサッカー選手は?」みたいな話題になるとなぜか澤穂希の名前を忘れる人がいるし、

「好きなサッカーチームは?」みたいな話題になるとどうしても女子サッカーの名前は挙げにくいのですが(私もなでしこリーグを見ているわけではないですし……)、

さすがにこの大会のなでしこを挙げないわけにはいきません。

 

震災の年。

一度も勝ったことがなかった開催国ドイツ相手に決めた延長後半の丸山のゴール。

女子サッカー強豪国スウェーデン相手に先制されながら、当時はまだ「ラッキーガール」だった川澄の爆発で逆転勝ち。

最後に待っていた「女王」アメリカ相手に二度先行され、退場者を出しながらその都度追いついて。

www.youtube.com

パスを回し、「できるだけ相手と競り合わないように」局面を打開していくスタイルを貫いたイレブンは、紛れもなく女子サッカーの潮流を変えた好チームでした。

 

 

えー、疲れたので今回はここまでです。

これ前後編じゃないな?

 

 

 

「あれは自然災害ではない、生き物だ」――『シン・ゴジラ』感想

7月29日(金)、朝一時の回で『シン・ゴジラ』を観に行ってきました。
IMAX版でした。
IMAXだと時々CGの粗さが気になりました。
しかし、そこをカメラアングルでカバー。
絵コンテは庵野さん、摩砂雪さん、鶴巻さんだったかな?
思い切った引きの画が壮観です。

まだ一回しか観ていませんしパンフも買っていませんが、以下、ネタバレありで感想を書いていきます。
個人的には事前情報なしで観てほしい映画です。

なぜかというと、この映画、ゴジラの大暴れシーン以外はずっとキャラがくっちゃべってます。
『ヱヴァ破』でNERVの職員たちが「ヱヴァの保有台数に関する国際条約」に愚痴を言っているシーンを思い出してもらえると分かりやすいと思います。
延々とあんな感じです。
セリフを最小限にすることで重要なセリフを際立たせるのがシナリオの基本ですが、この映画は膨大なセリフの洪水の中に重要なセリフをサラッと紛れ込ませる手法を採っています。
なので、どのセリフが「刺さる」かが、視聴者によって異なる可能性が大きいのです。

まっさらな状態で観たときに「刺さった」セリフこそが、恐らく、いまのあなたの感動ポイントなのでしょう。
事前情報を入れれば入れるほど、その感動ポイントに他人のバイアスがかかってしまうことになります。
劇場で流れた予告にまったくセリフがなかったのも、そういうバイアスを避けるためだと考えられます。
(なんかセリフありver.の予告もあったと聞いていますけどね!)

というわけで、できれば自分の目で観に行ってね!

以下、ネタバレです。
そもそも小見出しが作中のセリフ(うろ覚え)になっています。

 

 

 

 

「この国はスクラップ・アンド・ビルドで成長してきた」

物語の構造としてはシンプルです。

ゴジラの出現によって、日本という国や登場人物たちの「壊すべきもの」が浮き彫りになる。
ゴジラが全部ぶっ壊す。
ゴジラとの戦いによって人々が団結し、新しい土台が築かれる。

小見出しのセリフをそのまんま言ってくれるキャラがいます。わかりやすい!

この映画の最大の特徴は、上でいう②のプロセスの扱いではないかと思います。
この映画において②は、まさに進行中であるゴジラ大暴れのさなかでは、もちろん「悲劇」として描かれます。
しかし、なんとかゴジラの凍結に成功したその直後から、「キャラや日本という国に変化をもたらしてくれたきっかけ」という描写に変化するのです。
この変化こそが、本作品の「ゴジラ」とは何なのかを示すヒントになっていると思われます。

「あれは自然災害ではない、生き物だ。だから倒せる」

これまで、「ゴジラ」と「ガメラ」の違いを端的に表現するのに、「ゴジラは人類の味方ではなく、自然災害のようなもの」ということばを用いる人がいました。
なので、敵性怪獣であるムートーを撃退して海に戻っていったハリウッド版『GODZILLA』のゴジラは、「ゴジラというよりガメラ的だ」と言われるわけです。

しかし、この映画ではゴジラを指して(たしか)何度か「あれは自然災害ではない」、「生き物なら倒せる」というセリフが使われました。
これは個人的に印象に残ったセリフです。庵野さんたちがゴジラ=自然災害説を知らないわけがありません。それを真っ向から否定しにかかっているからです。

加えて重要なのが、この映画では「ゴジラは去って行かなかった=東京のど真ん中で凍結されただけ」ということです。
しかもその凍結方法が、ガメラみたいにオカルト少女の力を借りるわけでもなく、エヴァのようなSF兵器の力を借りるわけでもなく、あくまで現代の力を結集した結果であるということも象徴的です。
要するに「消せはしないが、いまの僕たちでも克服できるもの」として「ゴジラ」を描いているわけです。
こう考えると、ゴジラは「去って行く」台風や津波ではありえません。地震震源地)という可能性はありますが、いつ起こるか分からない地震を「変化をもたらすきっかけ」と解釈するのは無理があります。
なので、ここは「自然災害ではない説」でゴリ押していこうと思います。

過ぎ去った瞬間に「きっかけ」として再評価される、「消せはしないが、克服できるもの」。
こう書くと、語彙が貧相な僕の頭にはひとつしか思い浮かびません。
「歴史」ですね。
シン・ゴジラ』の「ゴジラ」は、「歴史」あるいは「過去」のメタファー説を推していこうと思います。
(もっといい言葉があるような気がしますので、ぜひ助言をお願いいたします……)

作中で明確に言及されるのは「第二次世界大戦」ですが、もちろんここには「東日本大震災をめぐる歴史」も含まれているでしょう。
(ヤシオリ作戦の内容が福島原発の冷却作業に重なって見えたのは僕だけではないはず)

「この国に、三度も核を落とさせるわけにはいかない」

「歴史」といっても様々です。しかし本作品のゴジラは、特に意識して「第二次大戦以降の日本の歴史」を背負わされています。たぶん。
結果として、本作品は「日本でないと描けないゴジラ」という立ち位置に見事収まったといえそうです。


※「鶏が先か~」の問題で、「ゴジラを日本のものに取り返すためにゴジラに日本の歴史を背負わせた」のか、
ゴジラに日本の歴史を背負わせたがゆえに日本でないと描けないゴジラになった」のかは分かりません。
後者の方がオタク臭くなくてかっこいいので、後者ということにしておきましょう。


それを象徴するのが、「ゴジラを倒すには核しかない」と国連が言い出したあとの展開です。
ハリウッド版『GODZILLA』では、ばっちり核爆弾が爆発しちゃいました。
また、敵性怪獣のムートーが核を食べるシーンもあります。
恐らく今作のゴジラも、(新元素とはいえ)核を無力化するか取り込んで、「もう核でええやろ」と思っていた人々を絶望させる……という展開にもできたはずです。
というか、シナリオの王道的にはそうするべきです。
最高のカタルシスの前に最悪の絶望ポイントを置くのが基本ですから。

しかし、『シン・ゴジラ』は核を撃たせなかった。
核が撃たれる前になんとかしようと登場人物が結集して対応するタイム・サスペンス展開にしたのです。
僕はこの展開こそが、『シン・ゴジラ』の本懐ではないかと考えています。

本作の絵コンテを担当した鶴巻さんが監督をやっている『トップをねらえ2!』というOVAがあります。
この作品も、宇宙のどこかからやってくる、人類の力ではどうしようもな巨大怪獣を撃退するのがクライマックスです。
撃退のための最後の手段として作中の人々が選んだのが、「地球」を質量兵器として怪獣にぶつけるというものでした。
しかし、寸前で主人公たちがそれを取りやめ、別の手段で怪獣を撃退する……という展開です。
シン・ゴジラ』における核の扱いを観ているとき、僕はこの話を思い出していました。

『トップ2』でも、「一度地球が真っ二つになってしまうも、主人公たちが再びくっつける」という案が出ていたそうです。
しかし、脚本を担当した榎戸洋司さんが「一度真っ二つになってくっついた地球は、もう元の地球ではない」と主張して、上掲の展開になりました。

これと同じで、「一度核が使用されてしまった世界は、もう二度と、核が使われなかった世界には戻れない」という発想によって、『シン・ゴジラ』はタイム・サスペンス展開を選んだのだと思います。
この発想が日本という国の歴史に深く由来することは言うまでもありません。

(事実、ハリウッドちゃんめっちゃ核使いますしね……。えっ、『蒼穹のファフナー』?)

 

このことからも、『シン・ゴジラ』のゴジラは日本の歴史を背負った存在であると言えそうです。

 

「以下、略」

というわけで、『シン・ゴジラ』初見での感想でした。
たぶん二回目も観に行くと思いますが、感想変わったらどうしよう……。
ブログは「消せるし、克服しなくていいもの」だし、消します。