【エスパルス】ウタカがレンタル、死
死である。
死である。
昨季、この1topがどれだけチームに貢献していたかは、以下のデータが示している。
大前元紀の1.5倍チャンスを作っている。バケモノである。
そのバケモノがチーム始動日にサンフレッチェ広島へレンタル移籍する運びとなった。
死である。
しかもこのウタカ、「ボールを奪われてから7秒間はプレスをかけよう」とかいう大榎監督の(あまり効果的とはいえなかった)守備方針に唯一貢献しようとしていた選手である。これだけ巧く、攻撃において脅威となれる存在で、チームの守備方針に従ってくれる助っ人は早々見つからない。
ウタカのプレスが機能しなかったのは、そもそもチームとしてどうプレスをかけるのかという点がまるで整備されていなかったからで、さらにもう一個そもそもを重ねるならば、1topにサイドまでプレスに行かせて相手ボランチにドフリーでボールを持たせる戦術は、試合をコントロールするクラッキがボランチにいることが多いJ1の舞台では自殺行為であった。ゆえにエスパルスはJ2に落ちた。
一昨年の残留に貢献してくれたノヴァコヴィッチ、そして今回のウタカ、二人がすべき守備のタスクは、相手のDFラインからボランチへ入るパスコースの間に立っている、それだけで十分であった。
2014年の序盤にノヴァ、大前、長沢の三人を使ってアフシン・ゴトビ監督がやろうとしていたのも、そのような守備戦術だったはずだ。機能し始めた矢先に長沢がシーズン絶望の怪我を負ってしまい、そこからズルズルと行ってしまったが。
なので、今年こそはその戦術で一つお願いしますよ小林監督、と書こうとした矢先にこのレンタル報道である。
死である。
加えて言うなれば、ウタカは清水が誇る怪物・北川航也の完成形であり、よき手本であり、さらにいえば彼に点を取らせてやることのできるプレイヤーでもあった。
ウタカと一緒に練習し、ともにプレーすることが北川にとってどれだけの財産になったか、今となってはもう分からない。
つらい。
きっと小林監督はウタカがいないなりのチームを作り上げてくるだろう。
手持ちの駒でやりくりさせたらJ屈指の名将である。プレーオフ圏内までは心配していない。
しかし、魑魅魍魎がひしめく今年のJ2で、ウタカ抜きに自動昇格圏を勝ち取るイメージがどうしても僕には湧いてこない。
なんとかこの悲観的観測をくつがえしてほしい。