棘間靱帯炎

サッカーとオタク。

【サッカー】マイベストチームランキング(前編)

どうも私です。

時が経つのは早いもので、このブログを放置しているうちにエスパルスはJ1に昇格したのちに残留を果たし、FF15DQ11が発売し、平成が終わろうとし始めました。

今回は大変嬉しいことにむっとん様(@funyofunyo)よりリクエストをいただいたので、久々のサッカー記事を上げようと思います。

 

記事の内容は、ずばり「マイベストチームランキング」です。

とりあえず10個に絞ってランク付けしてみました。一気に全部書くのはしんどいので、前後編に分けてお送りしようと思います。

前口上が長くてもしょうがないので、早速ご紹介します。まずは第10位。

 

 

【10位】シャルケ04(2010-11)

(監督:フェリックス・マガトラルフ・ラングニック

 

10位は日本代表・内田篤人が移籍した初年度のシャルケ04

CLでは長友佑都属するインテルとベスト8で激突し、CL初の日本人対決を制してセミファイナルまで駒を進めました。ブンデスリーガでは14位と低迷しますが、リーグカップDFBポカールは優勝しています。

2004年くらい?にJsportsがプレミアの放映権を手放してブンデスに切り替えたあと、僕はよくシャルケの試合を観ていました。好きだったのはケビン・クラニーという豪快なストライカー。そのヒゲが「垂れた機械油みたい」と言わていれた可哀想な男です。

 

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垂れた機械油氏(ちなみに内田が移籍したオフにロシアへ移ったので共演はならず)

 

そのクラブに地元出身の内田が移籍するということで注目していたのですが……。

 

シャルケ04:2010年オフの移籍リスト]

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……ん?

 

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……んん!?

 

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んんんんんんんん!?!?

と……とんでもない大物が同時加入したぞ!?

 

というわけで、2010-11年はめっちゃ観てました。シャルケの試合。

この年のシャルケの魅力を一行で表すなら、

「GKノイアーからのボールをSB内田→WGファルファン→内田と繋ぎ、STラウールがフィニッシュするホットラインが見れる」

でしょうか(実際にそういうシーンがあったかどうかは覚えてませんが)。

「内田―ファルファン」のコンビはのちに『チョコレートライン』と呼ばれて現地の人々から愛されますが、その1年目を楽しく観させてもらっていました。

また、現在私がドイツ代表で一番好きな選手、ユリアン・ドラクスラーがこの年にシャルケのトップチームデビューを果たし、DFBポカール優勝の原動力になっています。

 

ちなみに長友インテルと打ち合ったCLベスト8の1st&2ndLegはもちろんですが、個人的に印象に残っているのは、

マンチェスター・ユナイテッドに0-4とボコボコにされたCLベスト4の2ndLeg終盤、ブチ切れた内田が右サイドから左サイドまで横断してプレスをかけに行ったシーン」

です。本当にありがとうございました。

 

【9位】レスター・シティFC(2015-16)

(監督:クラウディオ・ラニエリ

 

……このチームの説明いるか?

アクションサッカー好きとして外せない金字塔、15-16レスターです。

清水エスパルスから羽ばたいた岡崎慎司が新しいFWの形を示し、シャルケからやってきたクリスティアン・フクスが左SBに定着、チェルシーにゆかりのあるクラウディオ・ラニエリロベルト・フートがいたチームというのも感慨深いです。しかも、このシーズン絶不調だったチェルシーが最後の最後で優勝をアシストするというドラマつき。

 

……というと「お前、自分の好きなチームの選手がいるからやんけ」と言われてしまいそうなので、ちょっと戦術の話をします。

この年のレスターを見るまで、私は「トップリーグで4-4-2は通用しない」論者でした。

理由は単純、「中盤を3枚にするあらゆるフォーメーションに勝てないから」です。

 

4-4-2と「中盤3枚」が相対するとどういう守備になるかというと、

①FW1枚が相手の最終ラインにプレスに行き、もう1枚が落ちてくるボランチを見る。

(なお、ここでFW2枚が最終ラインにプレスに行くと即死です。相手の中盤3枚をこちらはボランチ2枚で見なければなりません。はい数的不利ー!)

②残った中盤2枚で相手の中盤2枚を見る。

状態になります。一見すると中盤は数的同数じゃんと思えますが、中盤で数的同数ってのはヤバいです。FWが落ちてきたりSBやWGが中に入ってきたりすると即数的不利です。また、1人かわされるとカバーに行ける選手がいません。それが分かっているのに性懲りもなく何度も同じ4-4-2で変則3-5-2の北海道コンサドーレ札幌に挑んで2年間を通じて全敗しているチームがあります。はい、清水エスパルスです。

 

それが、レスターの場合はなんとかなってしまったんです。

なぜかというと、

ジェイミー・ヴァーディと岡崎が相手の最終ラインにプレスに行き、ジェイミー・ヴァーディと岡崎が落ちてくるボランチを見る。

②残ったエンゴロ・カンテで相手の中盤2枚を見る。

③エンゴロ・カンテとダニー・ドリンクウォーターがカバー担当。

とかいう意味の分からない戦術を採用できたからです。

 

つまり、レスターの守備時のフォーメーションは、

FW:ヴァーディ、ヴァーディ、岡崎、岡崎

MF:オルブライトン、カンテ、カンテ、カンテ、ドリンクウォーター、マフレズ

DF:フクス、フート、モーガン、シンプソン

なので、「4-6-4」です。

なんでやねん。

 

【8位】日本女子代表なでしこジャパン(2011年)

(監督:佐々木則夫

 

……このチームの説明いるか?

ご存知のとおりW杯優勝したときのなでしこジャパンです。

「日本最高のサッカー選手は?」みたいな話題になるとなぜか澤穂希の名前を忘れる人がいるし、

「好きなサッカーチームは?」みたいな話題になるとどうしても女子サッカーの名前は挙げにくいのですが(私もなでしこリーグを見ているわけではないですし……)、

さすがにこの大会のなでしこを挙げないわけにはいきません。

 

震災の年。

一度も勝ったことがなかった開催国ドイツ相手に決めた延長後半の丸山のゴール。

女子サッカー強豪国スウェーデン相手に先制されながら、当時はまだ「ラッキーガール」だった川澄の爆発で逆転勝ち。

最後に待っていた「女王」アメリカ相手に二度先行され、退場者を出しながらその都度追いついて。

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パスを回し、「できるだけ相手と競り合わないように」局面を打開していくスタイルを貫いたイレブンは、紛れもなく女子サッカーの潮流を変えた好チームでした。

 

 

えー、疲れたので今回はここまでです。

これ前後編じゃないな?

 

 

 

「あれは自然災害ではない、生き物だ」――『シン・ゴジラ』感想

7月29日(金)、朝一時の回で『シン・ゴジラ』を観に行ってきました。
IMAX版でした。
IMAXだと時々CGの粗さが気になりました。
しかし、そこをカメラアングルでカバー。
絵コンテは庵野さん、摩砂雪さん、鶴巻さんだったかな?
思い切った引きの画が壮観です。

まだ一回しか観ていませんしパンフも買っていませんが、以下、ネタバレありで感想を書いていきます。
個人的には事前情報なしで観てほしい映画です。

なぜかというと、この映画、ゴジラの大暴れシーン以外はずっとキャラがくっちゃべってます。
『ヱヴァ破』でNERVの職員たちが「ヱヴァの保有台数に関する国際条約」に愚痴を言っているシーンを思い出してもらえると分かりやすいと思います。
延々とあんな感じです。
セリフを最小限にすることで重要なセリフを際立たせるのがシナリオの基本ですが、この映画は膨大なセリフの洪水の中に重要なセリフをサラッと紛れ込ませる手法を採っています。
なので、どのセリフが「刺さる」かが、視聴者によって異なる可能性が大きいのです。

まっさらな状態で観たときに「刺さった」セリフこそが、恐らく、いまのあなたの感動ポイントなのでしょう。
事前情報を入れれば入れるほど、その感動ポイントに他人のバイアスがかかってしまうことになります。
劇場で流れた予告にまったくセリフがなかったのも、そういうバイアスを避けるためだと考えられます。
(なんかセリフありver.の予告もあったと聞いていますけどね!)

というわけで、できれば自分の目で観に行ってね!

以下、ネタバレです。
そもそも小見出しが作中のセリフ(うろ覚え)になっています。

 

 

 

 

「この国はスクラップ・アンド・ビルドで成長してきた」

物語の構造としてはシンプルです。

ゴジラの出現によって、日本という国や登場人物たちの「壊すべきもの」が浮き彫りになる。
ゴジラが全部ぶっ壊す。
ゴジラとの戦いによって人々が団結し、新しい土台が築かれる。

小見出しのセリフをそのまんま言ってくれるキャラがいます。わかりやすい!

この映画の最大の特徴は、上でいう②のプロセスの扱いではないかと思います。
この映画において②は、まさに進行中であるゴジラ大暴れのさなかでは、もちろん「悲劇」として描かれます。
しかし、なんとかゴジラの凍結に成功したその直後から、「キャラや日本という国に変化をもたらしてくれたきっかけ」という描写に変化するのです。
この変化こそが、本作品の「ゴジラ」とは何なのかを示すヒントになっていると思われます。

「あれは自然災害ではない、生き物だ。だから倒せる」

これまで、「ゴジラ」と「ガメラ」の違いを端的に表現するのに、「ゴジラは人類の味方ではなく、自然災害のようなもの」ということばを用いる人がいました。
なので、敵性怪獣であるムートーを撃退して海に戻っていったハリウッド版『GODZILLA』のゴジラは、「ゴジラというよりガメラ的だ」と言われるわけです。

しかし、この映画ではゴジラを指して(たしか)何度か「あれは自然災害ではない」、「生き物なら倒せる」というセリフが使われました。
これは個人的に印象に残ったセリフです。庵野さんたちがゴジラ=自然災害説を知らないわけがありません。それを真っ向から否定しにかかっているからです。

加えて重要なのが、この映画では「ゴジラは去って行かなかった=東京のど真ん中で凍結されただけ」ということです。
しかもその凍結方法が、ガメラみたいにオカルト少女の力を借りるわけでもなく、エヴァのようなSF兵器の力を借りるわけでもなく、あくまで現代の力を結集した結果であるということも象徴的です。
要するに「消せはしないが、いまの僕たちでも克服できるもの」として「ゴジラ」を描いているわけです。
こう考えると、ゴジラは「去って行く」台風や津波ではありえません。地震震源地)という可能性はありますが、いつ起こるか分からない地震を「変化をもたらすきっかけ」と解釈するのは無理があります。
なので、ここは「自然災害ではない説」でゴリ押していこうと思います。

過ぎ去った瞬間に「きっかけ」として再評価される、「消せはしないが、克服できるもの」。
こう書くと、語彙が貧相な僕の頭にはひとつしか思い浮かびません。
「歴史」ですね。
シン・ゴジラ』の「ゴジラ」は、「歴史」あるいは「過去」のメタファー説を推していこうと思います。
(もっといい言葉があるような気がしますので、ぜひ助言をお願いいたします……)

作中で明確に言及されるのは「第二次世界大戦」ですが、もちろんここには「東日本大震災をめぐる歴史」も含まれているでしょう。
(ヤシオリ作戦の内容が福島原発の冷却作業に重なって見えたのは僕だけではないはず)

「この国に、三度も核を落とさせるわけにはいかない」

「歴史」といっても様々です。しかし本作品のゴジラは、特に意識して「第二次大戦以降の日本の歴史」を背負わされています。たぶん。
結果として、本作品は「日本でないと描けないゴジラ」という立ち位置に見事収まったといえそうです。


※「鶏が先か~」の問題で、「ゴジラを日本のものに取り返すためにゴジラに日本の歴史を背負わせた」のか、
ゴジラに日本の歴史を背負わせたがゆえに日本でないと描けないゴジラになった」のかは分かりません。
後者の方がオタク臭くなくてかっこいいので、後者ということにしておきましょう。


それを象徴するのが、「ゴジラを倒すには核しかない」と国連が言い出したあとの展開です。
ハリウッド版『GODZILLA』では、ばっちり核爆弾が爆発しちゃいました。
また、敵性怪獣のムートーが核を食べるシーンもあります。
恐らく今作のゴジラも、(新元素とはいえ)核を無力化するか取り込んで、「もう核でええやろ」と思っていた人々を絶望させる……という展開にもできたはずです。
というか、シナリオの王道的にはそうするべきです。
最高のカタルシスの前に最悪の絶望ポイントを置くのが基本ですから。

しかし、『シン・ゴジラ』は核を撃たせなかった。
核が撃たれる前になんとかしようと登場人物が結集して対応するタイム・サスペンス展開にしたのです。
僕はこの展開こそが、『シン・ゴジラ』の本懐ではないかと考えています。

本作の絵コンテを担当した鶴巻さんが監督をやっている『トップをねらえ2!』というOVAがあります。
この作品も、宇宙のどこかからやってくる、人類の力ではどうしようもな巨大怪獣を撃退するのがクライマックスです。
撃退のための最後の手段として作中の人々が選んだのが、「地球」を質量兵器として怪獣にぶつけるというものでした。
しかし、寸前で主人公たちがそれを取りやめ、別の手段で怪獣を撃退する……という展開です。
シン・ゴジラ』における核の扱いを観ているとき、僕はこの話を思い出していました。

『トップ2』でも、「一度地球が真っ二つになってしまうも、主人公たちが再びくっつける」という案が出ていたそうです。
しかし、脚本を担当した榎戸洋司さんが「一度真っ二つになってくっついた地球は、もう元の地球ではない」と主張して、上掲の展開になりました。

これと同じで、「一度核が使用されてしまった世界は、もう二度と、核が使われなかった世界には戻れない」という発想によって、『シン・ゴジラ』はタイム・サスペンス展開を選んだのだと思います。
この発想が日本という国の歴史に深く由来することは言うまでもありません。

(事実、ハリウッドちゃんめっちゃ核使いますしね……。えっ、『蒼穹のファフナー』?)

 

このことからも、『シン・ゴジラ』のゴジラは日本の歴史を背負った存在であると言えそうです。

 

「以下、略」

というわけで、『シン・ゴジラ』初見での感想でした。
たぶん二回目も観に行くと思いますが、感想変わったらどうしよう……。
ブログは「消せるし、克服しなくていいもの」だし、消します。

 

【サッカー】岡崎慎司という男――スタジアムに行こう!

岡崎慎司選手、日本代表100試合目おめでとうございます

本日のシリア戦で、岡崎慎司選手が日本代表での100試合目を迎えました。

史上5人目だそうです。

おめでとうございます。

通算48ゴール、紛れもなく日本代表史上最高のFWのひとりです。

岡崎のプロ人生は、僕のサッカー観戦史でもあります。

今日はそんな岡崎と、スタジアムでしか見られない試合前練習の話。

 

ジュニーニョ・パウリスタという衝撃――ミドルズブラFC

僕が「考えて」サッカーを見るようになったのは、JSPORTSを契約して、03/04シーズンのカーリングカップ決勝、ミドルズブラvs.ボルトン・ワンダラーズの試合を観たことがきっかけでした。

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プレミアリーグの試合を観たことがある人ならお分かりかもしれませんが、かのリーグは「映像で魅せる」ことに尋常ならざるリソースを割いています。

ピッチに近く、まるで倍速映像を見ているかのようなカメラワーク、男たちの野太い声を遠慮なく拾うマイク、オンプレーを邪魔しないリプレー映像……。

当時の僕は、まったく違う星のサッカーを観たかのようなショックを受けました。

特に強く記憶に残っているのは、大男たちの中、キレだけでボルトン守備陣を切り裂くブラジル人、ジュニーニョ・パウリスタという選手のことでした。

 

それから、JSPORTSでプレミアの試合を貪るように観ました。

その年のプレミアは、アーセナルが無敗優勝をなしとげたシーズンです。

くしくもその年は、現在岡崎が所属するレスター・シティがプレミアから降格した年でもあります。

 

イスタンブールの奇跡

翌年の04/05シーズン、ミドルズブラと並んでいまも応援しているチェルシーがリーグ優勝を達成。ミドルズブラはプレミア発足以降最高となる7位でシーズンを終えました。

そして、ミドルズブラは05/06シーズンに当時のUEFAカップで「ミラクル・ボロ」と呼ばれる(呼ばれてたと思うんだけど、ソースがない……)大逆転に次ぐ大逆転の快進撃を見せるわけですが、それはさておき。

04/05シーズンといえば、なんといっても「イスタンブールの奇跡」でしょう。

イスタンブールで開催されたチャンピオンズリーグ決勝で、リバプールACミランに0-3から追いつき、PK戦で優勝してしまった試合です。

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あまりの興奮に、復活したトヨタカップ決勝のチケットを勢いで予約。

まあ、結果からいうと負けたんですが。リバプール

それでも、僕にとっては忘れられない光景があるのです。

 

スティーブン・ジェラードの右足

会場は「横酷」と呼ばれる横浜国際でしたが、僕の席はめちゃめちゃいい席でした。

記憶によると、下の図でいうところのW12のらへん。

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僕らの前では、リバプールの選手たちが試合前の練習をしていました。

ただ漫然と見ているうちに練習は終わってしまったのですが、最後にひとり、残ってシュート練習をする選手がいました。

それが、スティーブン・ジェラード。偉大なるリバプールのキャプテンです。

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彼のシュート練習の光景を見て、僕は初めてプレミアを見た時以上の衝撃を受けました。

ペナルティエリアの少し外から、シュート5本くらいだったでしょうか。

その5本が、すべてゴールの左上の同じ場所に、弾丸のように吸い込まれていったのです。

一発ごとにスタジアム中にどよめきが起きていたので、当時あの場所にいた人は覚えているのではないでしょうか。

ジェラードはその後、仕上げとばかりにシュートを「狙って」クロスバーに当て、拍手をする観客に左手をあげて引き上げていきました。

ミドルシュートは「このへん」と決めて力一杯に蹴るもの、と考えていた僕の前に、いくらノープレッシャーとはいえ、ミドルを「狙って」「同じ場所に」「凄まじい速度で」撃ち込める選手がいるという現実が広がっていたのです。

 

当時、Jリーグの試合を見に行くことがありましたが、試合前練習というのは体をほぐし、ボールの感触に慣れるものだと思っていました(もちろん国内外問わずそういう目的で試合前の練習をする選手もいるんでしょうけどね)。

ドフリーで上げるクロスなのに合わなかったり、万全の体勢でシュートを打ったのに明後日の方向へ飛んでいったりするわけです。

それが寸分違わぬ位置に五連発です。

いままで俺が見てたミドルはなんだったんでしょうって感じです。

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まあ、試合は負けたんですが。リバプール0-1サンパウロ

 

岡崎慎司という男

というわけで、僕は試合前練習を見るのが大好きになりました。

贔屓にしているエスパルスの試合も、キックオフ一時間前には日本平に着いて、試合前練習をじっと見ていたのを思い出します。

まあ、当初はたまーにいいクロスを上げる市川とか、長谷川健太が筑波から連れてきた藤本のテクい左足とかを見て楽しんでいたのですが、

ある時、「おっ」と思う練習をしている選手がいました。

 

その選手が、何を隠そう、岡崎慎司選手です。

 

彼のシュート練習は独特でした。他の選手がボールの感触を確かめるためにシュート練習をしているのに対し、彼は、常に目の前に、あるいは背中にDFが迫ってきている状況を想定しているかのようにシュートを打っていたのです。

ちょんと持ち出して、崩れた体勢から無理矢理シュート。

ワンタッチで反転して、つま先で当てるだけのシュート。

ワンフェイク入れてのシュート。タイミングをズラしてのシュート。

とにかく、万全の体勢で、ゆっくり時間を作って打ったシュートは1本もありませんでした。

 

静岡新聞だったかマッチデープログラムだったか忘れたのですが、当時岡崎が意識を変えたきっかけについて、「毎日プレミアリーグを見てイメージを膨らませている」と言っていたのを覚えています。

たしかに岡崎の試合前練習は、あの日僕が見たジュニーニョ・パウリスタの体の使い方を彷彿とさせるものでした。

 

その後、彼はそのプレミアリーグに移籍し、リーグ史上最大のドラマの役者のひとりとして活躍していることは、みなさんご存知の通りでしょう。

きっと当時から、彼はプレミアで通用するFWになろうと思って練習していたんだと思います。

日本屈指の成長曲線を描いたストライカーは、試合前の練習から、その片鱗を見せていたのです。

 

――という、古参気取りの話でした。

ぶっちゃけ04年からサッカーまともに見始めたなんてぜんぜん古参じゃないんですがね!

 

みなさんもぜひJリーグを見て、スタジアムに行って、少し高い位置から試合前の練習を眺めてみてください。

第二、第三の岡崎慎司がそこにいるかもしれませんよ!

(残念ながら、いまのエスパルスには試合前練習の時点で「違い」を感じる選手はいませんけどね!!)